アメリカのスタンダップコメディアン「マイケル・チェ」

お笑いが好きな黒人のアメリカ人なら絶対に知っていると言ってよさそうな知名度のスタンダップコメディアンがマイケル・チェです。アメリカで最も有名なコント番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演者としてもライターとしても参加したことがあるので、「アメリカでメジャーな芸能人」と言える人物だと思います。マイケル・チェが発表したネットフリックス・スペシャル(ネットフリックスで放送されるスタンダップコメディアンの単独ライブ番組)で有名なのが、「マイケル・チェ・マターズ」です。タイトルが、黒人への人種差別に焦点を当てたアメリカの社会運動「ブラック・ライヴズ・マター」に掛けてあります。この作品の影響もあり、黒人の漫談という色が濃いのがマイケル・チェ。と言い切れるのかもしれませんが、そうはいかないのがマイケル・チェの面白いところです。黒人の話だけど、黒人だけに向けた話ではない。という聞き応えです。ブラック・ライヴズ・マターやらLGBTQやらが当然のように語られるようになったアメリカ社会への、黒人としてのアンサー。のように聞こえなくもないです。

ネットフリックス・スペシャル「マイケル・チェ・マターズ」でパフォーマンスする、マイケル・チェ。(Image via youtube

そんなマイケル・チェの芸風を一文で説明すると「どこにでもいそうな兄ちゃんのような雰囲気だけど、ややもすれば斜に構えた謙虚な黒人が、現代のアメリカ社会の変な部分について、ふざけたい気持ちを出しおしみながら指摘する」となるでしょうか。題材や視点が、スタンダップコメディのレジェンド「デイヴ・シャペル」と共通しているように聞こえることがあり、はっとします。もしかすると、同じ世界の住人なのかもしれません。しかしながら、女性器を蹴りかねないキャラクターのデイヴ・シャペルとは違い、マイケル・チェは白人女性をいじりつつも応援しているように聞こえたりもして、優しいです。