日本をネタにした海外のお笑い芸人(スタンダップコメディアン)10選②

海外(英語圏)で主流のお笑いが「スタンダップコメディ」。舞台から観客に対して漫談を披露する芸のことです。この記事では、日本に関するネタを披露したスタンダップコメディアンを、ネタと一緒に紹介します。

ルイ・C・K

アメリカのスタンダップコメディアンのレジェンドの一人と言える人物がルイ・C・Kです。「見るからにおもしろい様子の白人男性が、へんなものや気まずいもの、ひいては世の中のおかしいことをいじりたおしていく」という芸風で知られています。2015年に発表されたスタンダップコメディ作品『Louis C.K.: Live at the Comedy Store』では、ネズミの交尾の声を真似しながら「日本のネズミ」と言ってふざけています。いかにもルイ・C・K。

ラルフ・バルボサ

ネットフリックスで2023年に公開された作品『Ralph Barbosa: Cowabunga』で知名度が一気にあがったアメリカ人スタンダップコメディアンがラルフ・バルボサです。「テンションが低いラテン系の青年が、身の回りの出来事に対してすかした大喜利をかましていく」といった芸風で知られています。「チルい」と呼べる態度でおちょくっていく姿勢がユニークです。「弱腰のマイケル・チェ」と言いたくなりました。面白いです。ラルフ・バルボサのスタンダップコメディ作品『Ralph Barbosa: Cowabunga』の中に、「喧嘩に巻き込まれて波動拳*が出そうになった」というネタがあります。動きが昇竜拳*なのも含めて面白かったです。(*「波動拳(はどうけん)」と「昇竜拳(しょうりゅうけん)」は、TVゲーム「ストリートファイター」に登場する技です。)

マット・ライフ

SNSで人気が高まり、アメリカでアイドルのような状態になったスタンダップコメディアンが、マット・ライフ。「つきぬけてハンサムで良い奴な白人男性が、共感されやすい日常のクレイジーをつっこんでいく」といった芸風、と言えるでしょうか。女性ファンのためのスタンダップコメディに見えなくもない、というか多分そうですが、誰が見ても楽しめるプロのエンターテイナーによるショーなので、なんだかんだで面白いです。2023年に公開されたスタンダップコメディ作品『Matt Rife: Natural Selection』では、急ぐ人々を「ナルトラン*」で表現しています。(*ナルトランは、日本の漫画『ナルト』に登場する走り方のことです。)

アンドリュー・サンティーノ

アメリカの国民的スターでありスタンダップコメディアンのアリ・ウォンが主役を務めたドラマ『Beef』に出演したことでも話題の、アンドリュー・サンティーノ。自身が2022年に発表したスタンダップコメディ作品『Andrew Santino: Cheeseburger』は、「アメリカの平凡な白人男性がアメリカの白人社会を啓蒙していく」といった味わいのパフォーマンスでした。本作に、例えとして、「折り紙」「ミドリヤマ(日本のTV番組『SASUKE』に登場するステージのひとつ)」「ソニック・ザ・ヘッジホッグ(日本のテレビゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に登場するキャラクター)」が登場します。

カット・ウィリアムズ

アフリカ系アメリカ人のスタンダップコメディアンのなかでも最も有名な人物の一人が、カット・ウィリアムズ。「クレイジーな黒人男性が世の中の茶番や身の回りの滑稽な出来事をパワフルにおちょくっていく」という芸風で知られています。「クレイジーな黒人によるクレイジーなニュース」とも言えるでしょうか。とにかく面白いです。2018年に公開された作品『Katt Williams: Great America』では、「味噌汁を飲んで変な咳が出た」といった内容の表現をしています。

ジャック・ホワイトホール

イギリスで最も有名なスタンダップコメディアンの一人がジャック・ホワイトホール。映画によく出演しているので、俳優と考えられていることもある人物です。「イギリスならどこにでもいそうなハンサムでチャーミングな外見の白人男性が、誰もが理解できる日常の滑稽をコミカルにつっこんでいく」という芸風で知られています。2024年に発表されたスタンダップコメディ作品『Jack Whitehall: Settle Down』では、日本のウィスキーや回転寿司に言及しています。

キャサリン・ライアン

カナダとアイルランドの国籍をもつ、イギリスで有名なスタンダップコメディアンがキャサリン・ライアン。「やや派手な外見でもしかしたらな様子の白人女性が、世の中の茶番を狡猾にいじっていく」というスタイルのパフォーマンスで知られています。ともすればいじわるで、だからこそ、あえてベタで稚拙に物申す態度が味わい深いです。2019年に発表されたスタンダップコメディ作品『Katherine Ryan: Glitter Room』では、パートナーが日本に引っ越した時のネタを披露しています。

ミシェル・ウルフ

アメリカで最も有名な女性スタンダップコメディアンの一人がミシェル・ウルフ。2018年にアメリカの首相官邸「ホワイトハウス」で行ったスピーチ「the White House Correspondents’ Association dinner」で有意義にすべったことでも有名な人物です。ミシェル・ウルフの芸風は「アメリカの白人女性が、女性や世の中の茶番をいじりたおす」といった内容。ハイブロー(教養や学識のある様子)な態度で賢明であるはずの人物がロウブロー(無教養な様子)にふざけている様が、ぶっとんでいて面白いです。2019年にネットフリックスで発表されたスタンダップコメディ作品『Michelle Wolf: Joke Show』に、「中型の日本車」が登場しました。

アリ・ウォン

アメリカで最も有名なアジア人スタンダップコメディアンの一人がアリ・ウォン。女優としても有名な人物です。「アジア系アメリカ人の女性が、女性の苦労をぶちまけていく」という芸風で知られています。日本のコンテンツに言及するネタは多く、「ハローキティ」「ぐでたま」「たまごっち」「攻殻機動隊」などが登場します。2016年に公開されたスタンダップコメディ作品『Ali Wong: Baby Cobra』で、オノ・ヨーコ風のアジア系アメリカ人の女性をいじっていたのが印象的です。面白いです。

JR・De・グズマン

フィリピン系アメリカ人のコメディアンが、JR・De・グズマン。「ハンサムで好印象な青年が、そこそこディープな世の中の話題についてのコミックソングをピースフルに弾き語りする」という芸風で知られています。2018年にネットフリックスの番組『The Comedy Lineup』でJR・De・グズマンがパフォーマンスした平和を謳う歌の中に、「日本人の半分が白人だったらパールハーバーは起きない」という歌詞があります。その歌詞に続いて「白人は肌が敏感だから日焼けする前に帰っている」とあります。アメリカ人が気まずいと感じる話題に対して、一般人が賛同できるようなニュートラルな視点で平和なオチをくりだしつづけていて、味わい深いです。