海外(英語圏)で有名なアジア人のスタンダップコメディアンまとめ

海外(英語圏:アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)で有名なアジア人のスタンダップコメディアンたちを紹介します。

岡塚敦子(おかつかあつこ)

千葉県育ちで日系アメリカ人のスタンダップコメディアンが岡塚敦子(おかつかあつこ)です。アメリカで最も有名なアジア系スタンダップコメディアンのひとり。と言ってもよさそうな知名度がある人物だと思います。芸風は「おもしろ姉さんが、アメリカで滑稽に見えてしまう自分の人生を、コミカルに自虐しながらドタバタ披露していく」といった内容です。自虐ではあるものの、明るくて元気な漫談なので、愉快な気分になれました。

アリ・ウォン

「アメリカの国民的スターのひとり」と言ってもよさそうな人気があるスタンダップコメディアンがアリ・ウォンだと思います。有名な映画やドラマに主役として出演しているので、女優として認識されていることも多いように思います。芸風は「アジア系アメリカ人の女性が、大変な女性の話を、きれながら赤裸々に暴露している」といった内容でしょうか。「女性があえて下ネタを言う」という政治的意図が感じられるパフォーマンスなので下品には聞こえません。なんてことはなくふつうにど下ネタで面白かったりします。

マーガレット・チョー

アメリカの女性のアジア系スタンダップコメディアンの草分け的存在。といった評判があるのがマーガレット・チョーです。「アジア系スタンダップコメディアンのレジェンド」と言ってしまっても大袈裟ではない気がします。芸風は「おげれつな様子のアジア人のおばちゃんがアジア人のステレオタイプをいじったり、おげれつな事をする」といった内容です。余談ですが、マーガレット・チョーは、バイセクシュアル(LGBTQのB)だとを公表したことでも知られています。

アイリーン・トゥ

レズビアン(LGBTQのL)でアジア系アメリカ人のスタンダップコメディアンとして有名なのが、アイリーン・トゥです。芸風は「男の子に見えてしまうアジア系アメリカ人のレズビアンが、自分の身の回りで起こったやれやれな出来事がいかに滑稽かを、皮肉っているようにもみえる態度で説明していく」といった内容です。レズビアンのアメリカ人スタンダップコメディアンの重鎮「ティグ・ノタロ」がよぎらなくもなかったです。

ロビン・トラン

トランスジェンダー(LGBTQのT)の女性でレズビアン(LGBTQのL)の、ベトナム系アメリカ人のスタンダップコメディアンが、 ロビン・トランです。芸風は「アジア系アメリカ人のトランスジェンダー女性による徹底した自虐」といった内容です。暗い話なのに笑えてしまう、くせの強い漫談だと思います。ちなみに「トラン」は本名で(ベトナム系アメリカ人によくある名前だそうです)、これをつかみとしたネタが大爆笑でした。

ボーウェン・ヤン

アメリカで最も有名なコント番組と言ってよい知名度の「サタデー・ナイト・ライブ」に、ライターとしても出演者としても参加したことで知られるスタンダップコメディアンが、ボーウェン・ヤンです。「ゲイ(LGBTQのG)のアジア系アメリカ人のスタンダップコメディアンとして最も有名な人物のひとり」と言えるでしょう。芸風は「オタクな気配でゲイまるだしのアジア系アメリカ人によるウィットの効いた自虐」となるでしょうか。自己紹介のネタで、「ワードプレス*がどうのこうの」と言っていました。(*ワードプレスはブロガーの間で有名なサービスの名前です。)うけていない時も面白くて、面白いと思いました。

ジョエル・キム・ブースター

ゲイ(LGBTQのG)のアジア人のスタンダップコメディアンの超新星。といった様子なのが、韓国系アメリカ人のジョエル・キム・ブースターです。芸風は「いじわるにも見えるけれどハンサムで愛嬌のある今どきのゲイが、自分ごとで嘆いたり、ちょっと上から周りに文句を言ったりする」といった内容です。余談ですが、ジョエル・キム・ブースターは、ゲイ漫画界で世界的に有名と言われている日本人アーティスト「田亀源五郎(たがめげんごろう)」の絵がデザインされたシャツを着て漫談をしたこともあります。

ジミー・O・ヤン

アメリカで最も有名なアジア人男性のスタンダップコメディアン。と言ってよいかもしれない知名度なのが、ジミー・O・ヤンです。そういえば歌手の「オーヤン・フィーフィー(歐陽菲菲)」と同じ苗字です。ジミー・O・ヤンの芸風は、「いかにもな容姿のアジア人が、アメリカにおけるアジア人のステレオタイプをぞんぶんに駆使しながら、期待通りとも言える自虐を演じつつ、きれのある滑稽なストーリーテリング(エピソードトーク/物語を話すこと)をする」となるでしょうか。いつも迫力があります。

ケン・チョン

アメリカのコメディ映画「ハングオーバー」のシリーズにレスリー・チャウ役として出演したことでアメリカの国民的スターになった。と言える知名度のスタンダップコメディアンが、ケン・チョンです。芸風は「引かれそうなくらいクレイジーな様子のアジア人の医師*として滑稽なアジア人を演じながら下品なことを言ったりして有名になったケン・チョンによる、ファンに対する誠実な漫談」といった内容です。(*ケン・チョンは実際に医師として働いていたことでも知られています。)

ボビー・リー

スタンダップコメディが好きなアメリカ人なら絶対に知っていると言えそうな知名度があるのが、ボビー・リーです。芸風は「へんなアジア人のおじさんが自虐しながら、おげれつなことを言っている」といった内容です。動きも面白いので、「そんなあほな」とつっこんだりしながら永遠に見ていられそうな魅力を感じます。伝統芸能のようなものを見ている気分にならなくもなかったです。「男性版、マーガレット・チョー」とは言いませんが、などと言うと嘘になりそうです。面白いです。

シェン・ワン

ビヨンセと同じ高校に行っていたことでも知られる、台湾系アメリカ人でテキサス育ちのスタンダップコメディアンがシェン・ワンです。芸風は「さえない様子だけど教養のある普通のアメリカ人男性が、なにかと自虐しながら、ウィットが効いた表現で日常のもがきを話す」といった内容です。誰も傷つかない笑い話ばかりしているけれど、誰よりも静かにきれている人に見えることもあって、怖いほど面白いです。

アーロン・チェン

オーストラリアで最も有名なアジア系スタンダップコメディアン。と言ってよいであろう人物が、中国系オーストラリア人のアーロン・チェンです。芸風は「様子がおかしいアジア人が、自虐しながら、自分の人生がオーストラリア社会でいかに滑稽となってしまうかを淡々と話すものの、やっぱりふざけた態度をとっている」といった内容です。ユーチューブにアップロードされている動画を見る限りでは、観客がたいてい爆笑していて、アーロン・チェンの発言内容も「それは本当におかしい」といった具合なので、天才的という印象を抱かざるをえませんでした。

フィル・ワン

イギリスの若手スタンダップコメディアンのなかで実力者として評判がある様子なのが、中国系マレーシア人の父とイギリス人の母をもつ、フィル・ワンです。芸風は「利口に見えるアジア系イギリス人が、イギリスにおけるアジア人(中国人や日本人)のステレオタイプを駆使しながら、日常の滑稽なできごとをコミカルな態度でウィットをまじえて話していく」といった内容です。「目が笑っていない茶番劇」のように見えたりもして、緊張を感じなくもなかったです。

ナイジェル・アン

SNSで人気が出たスタンダップコメディアンとして有名なのが、マレーシア系イギリス人のナイジェル・アンです。ユーチューブのフォロワーは849万人です(2023年11月時点)。ユーチューブでは、イギリスにおけるアジア人像をデフォルメしたかのような中国人のキャラクター「アンクル・ロジャー」として、イギリス人が作るアジア料理の揚げ足をとっていく動画が人気です。ナイジェル・アンのスタンダップコメディの芸風は「マレーシアからイギリスに移住したアジア人が、イギリスで展開するアジア文化の揚げ足をかたっぱしからとっていく」と言えそうな内容です。

ロニー・チェン

アメリカで最も有名なマレーシア系中国人のスタンダップコメディアンと言ってもよさそうな人物がロニー・チェンです。芸風は「教養のあるアジア人の外国人が、アメリカ人に対してアメリカ社会のおかしなところを指摘していく」といった内容です。アメリカで人気の、南アフリカ人のスタンダップコメディアン「トレバー・ノア」のアジア人バージョン。などと言ったら語弊があるかもしれませんが、そう簡単に否定できない気もします。

ランドール・パーク

「アメリカの国民的スターのひとり」と言えそうな知名度のスタンダップコメディアンが、ランドール・パークです。有名な映画やドラマに主役として出演しているので、俳優としての印象も強い気がします。芸風は「健全で好感を持たれそうな雰囲気のアジア人男性が、アメリカ人の男性なら誰もが共感できそうな日常生活における失敗や冗談を話す」といった内容でしょうか。聞いていて優しい気持ちになるような話が多いように思います。

ヘンリー・チョー

スタンダップコメディが好きなアジア系アメリカ人なら絶対に知っていると言えそうな知名度のスタンダップコメディアンが、アメリカ南部(テネシー州)出身のヘンリー・チョーです。芸風は「田舎者というイメージが無くもないアメリカ南部の一般男性が、身の回りに起きた滑稽な出来事を話していく」といった内容です。ずっと聞いていると、「どこにでもいる普通のアメリカ人なのに、たまたま姿がアジア人だからさ」のような聞き応えにならなくもない時があって、味わいぶかいです。

スティーブ・バーン

ベテランのアメリカ人エンターテイナーといったイメージのある、韓国系アイルランド系アメリカ人のスタンダップコメディアンがスティーブ・バーンです。芸風は「ハンサムでリベラルなアメリカ人が、アメリカの日常生活における滑稽なシーンを表情豊かに説明していく」と言えそうな内容です。実力者による一人芝居。のような迫力があって、よそ見できない見応えを感じるときがあります。

ジョー・コイ

アジア系スタンダップコメディアンとしてアメリカで最も有名。と言えそうな知名度があるのが、フィリピン系アメリカ人のジョー・コイです。芸風は「フィリピン系アメリカ人の男性が、アジア系アメリカ人に刺さりそうなあるあるやストーリーテリング(エピソードトーク/物語を話すこと)をパワフルな演技で実践する」といった内容と言えるでしょう。フィリピン系アメリカ人の子供たちが見たら勇気が出るような、ポジティブな漫談が多いように思います。

ロブ・シュナイダー

フィリピン系ユダヤ系アメリカ人のスタンダップコメディアンがロブ・シュナイダーです。「アメリカにおけるアジア人いじりはどこからがアウトか」のボーダーラインを提示する人物と言えるかもしれません。2020年のネットフリックスでのパフォーマンス「ロブ·シュナイダーのママはアジアン、子はメキシカン(Asian Momma, Mexican Kids)」では、「私はアジア人だけどアジア人らしさが足りない。(I’m Asian. But I’m not Asian enough.)」と発言しています。そういう状態の人間が「アメリカのために滑稽なアジア人を演じてあげていたのに、時代によって許されたり許されなかったりしてもういいわ」とでも言っているかのように見えなくない時があります。現代のアメリカ社会における本当の意味でのマイノリティ。という見方が当てはまらなくもない人物かもしれません。そんなロブ・シュナイダーの芸風は「きれた人」。