ジム・ガフィガンといえば、アメリカのスタンダップコメディアンのなかでは圧倒的にベテランというイメージがあります。レジェンドというほど突出した知名度ではない気がしますが、アメリカ最高峰のスタンダップコメディアンの名前を挙げる時にはしれっとリストアップされるような存在、と言えるでしょうか。日本人でいうなら、俳優の「佐藤二朗」のような(ちょっと違うかもしれませんが)。名前を暗唱できなくても顔をみたらアッとなるような存在、と言えるでしょうか。ただしジム・ガフィガンの名前は「ジム」なので覚えやすいです(よく考えたら「佐藤」もそうですが)。
ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」で、扉をあけて大便するくそ野郎を演じたジム・ガフィガン。(Image via youtube)
ジム・ガフィガンの芸風を一文でまとめると、「さえない風貌だけど愛嬌があるので大衆が見るに耐える白人が、アメリカ人なら誰もがわかることについて茶化したり文句を言う」となるでしょうか。食べ物のネタが多く、マクドナルドやホットポケッツ(アメリカで有名な冷凍食品で、ハムやチーズが入ったパイ)のネタが有名です。聞いていてほっこりすることが多いです。ジム・ガフィガンの言葉づかいはニュートラルで、アメリカ人なら万人が笑えるであろう題材がネタとなっていることが多いため、「クリーン(clean)」なコメディと言われることが多いです。おおいに健全な漫談と言い切れます!
紅葉をいじるジム・ガフィガン。(Image via youtube)
健全と見せかけて(見せかけているわけではないと思いますが)、いつも根底に皮肉があるようにも聞こえて面白いです。聞いていて嫌な気持ちになる「ブラックジョーク」を用いた「ダーク・コメディ」になるのは避けた、ダーク・コメディ。のような複雑な聞き応えです。「紅葉でいちいち騒ぐな」「暴走族ださい」「いきるな」といった心の声が聞こえてきそうな時があって面白いです。でも温かい。もしかするとサイコパスな漫談かもしれません。あと、声がユニークなので、狂ったように騒ぐ白人の子供みたいになっているときがあって、音だけでも面白いです。